小型風車は、一般的によく知られている、高い山の上などに設置されている大きな風車に比べ、わたしたちが暮らす建物の上や住宅地などでも風況(風の吹く環境)さえ良ければ、設置することで一般の家庭でも発電ができることを目的としています。
島国である私たちの暮らす日本は、大陸の国々から比較すると風向きの変化や風の強弱が複雑で、安定的に風が吹いているとは言えません。
そんな日本の環境と、日本のものづくりの技術から生まれた国産風車の普及を願い、JREPOは国産風車メーカーを応援します。
小型風力発電の有用性等
- 小型風力発電は、再生可能エネルギーの中核と目されている太陽光発電や大型風車に比べ、設置場所をとらない、騒音やバードストライクなどの環境負荷が少ないなど、貴重な分散電源であることに加え、低圧連系が可能で送電枠の問題が少ない、環境アセスメントが要らない、などの利点があり、大きな潜在的市場が期待できる。
- 日本の自然環境には馴染みやすく、電力消費地に近い場所(市街地等)での発電が可能であり、国策にも合致するため、地産地消の自然エネルギー等として活用範囲は広がると考えられる。
- FIT制度に頼らない独立電源(自家使用)としての需要が加速している。
- 新興国における需要も高く、国内外の市場拡大が見込まれている。
- 大型風力発電と比較し、今後において多種多様な企業等による新規参入が期待でき、また日本における風力業界の人材(技術者)育成の観点からも重要な位置づけである。
小型風力発電分野の課題
- 日本の特殊な風況(乱流・台風・落雷)により、ブレード折損や落下物等の大小様々な事故が発生している。特に、海外で実証試験を行った風車の中には、日本の変化の激しい風況に耐えられないモデルの存在が複数確認されている。
- 日本の特殊な風況下で安全に耐久性及び性能に関する実証試験が行える場所の確保の難しさや、実証試験に要するコスト高が、開発停滞の一因となっている。
- 独立電源タイプ、モニュメントタイプについて、これまで設計要件が無い状態で公共性の高い場所に設置されており、今後において更に市場拡大傾向にあることを鑑みると、設置等によっては公共安全性への多大な影響が懸念される。
- 長期的にゼロカーボン実現に向け社会全体が動いていくことは確かであるが、今後の日本における人材(技術者)育成の観点から考えると、環境整備(試験場の確保等)や育成に相当の時間を要するなど、状況は深刻である。
- 太陽光発電と比較し、メーカや機種により能力等の違いが大きいこと、各社からの公表データにおいてもエビデンスを取得した環境にばらつきがあること等、導入者保護の観点から望ましい状態とは言えない。
- 日本国内において公にフィールド試験場と言える施設の存在が皆無であり、その点において一部諸外国に遅れを取っている。
- 日本の小型風力発電の開発・普及をスピードアップさせるためには、明確なガイドライン等の存在、開発において障壁となっているローコストで安全に使用できる試験場の確保、長期的視点に立った人材育成等、多面的な観点から解決を図らなければならない。